夢いっぱいの新生活
長女の作戦-転職&引越しの話
引っ越し直前まで、彼女の口から出るのは夢のような話ばかり。
「浦安に近いから、休みの日はディズニーに行けるよね。」
「テレビじゃなくて、スクリーンで映画観たいんだよね。」
未来の部屋のインテリアや休日の過ごし方を、目を輝かせて語っていました。
そのたびに私はつい、
「まずは連休明けから新しい仕事にちゃんと行ける生活リズムを作らないと。」
「お風呂掃除は誰がするの?」
などと現実的なことを言ってしまう。
そのたびに、彼女はあからさまに嫌な顔をする。
夢見る娘と、地に足をつけさせたい母。
いつもの構図です。
「行くの嫌になった」
ところが、出発当日。
私がテレワークでパソコンに向かっていると、目を真っ赤にした長女がやってきました。
「……行くの嫌になった。」
突然の一言。
え?どうした?どうしたの?
あんなに楽しみにしていたのに。
寂しがり屋の彼女は、急に不安が押し寄せてきたのでした。
旅行のときは、国内でも海外でもまったく動じないのに。
“帰ってくる場所が決まっている移動”と、“新しい場所で生きていく移動”は、まったく別物なのかもしれません。
長女は、家族に見送られるのが嫌で、あえて皆が休めない月末の平日に出発日を決めました。
それでも結局、不安は消えなかったのでしょう。
「一人で行く」と決めた以上、飛行機には自分で乗らなければならない。
それもちゃんと分かっている。
しばらくして、なんとか気持ちを立て直し、家を出ていきました。
いつもの道を、何度も振り返りながら。
その後ろ姿を見ていた私は、今度は自分のほうが不安になってきました。
東京の次女へSOS
思わず、仕事中の東京の次女へLINE。
すると、すぐに返信が。

さすが頼りになる次女。ありがとう。
その一言で、私もなんとか仕事に戻ることができました。
数時間後、成田空港に着いた長女からも明るいLINEが届きました。
写真付きで、思いのほか元気そう。
ああ、もう大丈夫だな。
ふるさとから送るエール
これから新しい仕事、新しい生活。
楽しいこともあるでしょうが、きっと大変なこともたくさんあるはず。
こちらからできることは、エールを送ることくらい。
それでも、あの子ならきっと乗り越えていく。
振り返りながら歩いていたあの姿も、きっといつか前だけを見て進める日が来るのでしょう。
……さて。
問題は、家に残された“おとうさん”がちゃんとやっていけるのかどうか。
その話は、また後日。
